2014

2014

若い頃に比べて歳を重ねると時間が早く感じるとはよく言われる事である。その理由も経験が蓄積された結果、物事への処理が効率化されるからと言うのが一般だと思う。それは何でも経験済みだというよりは、日常の生活がある程度決まった範囲で繰り返されることによる効率化ということだろう。そんな繰り返される日課の中に新たな経験を挟み込む事で少しは時間の経過をしっかりと感じる事が出来る。それが趣味であることも多い。競馬などは1日中時間に管理されているので、かなり時間を意識する。結果として長く遊べたと感じることが多いと思うがいかがだろう。ただ、競馬を趣味としている方が口を揃えていう言葉に「競馬をやっていると一年が早い」という事がある。実は私もそう思う。一日は長いが一年は早いのだ。それでも、どこかに充実感がある。そう考えると早く感じるのは結果論だ。十分楽しんでいるのだから、振り返ると淋しいのだ。寺山修司さんは「人生が競馬の比喩なのだ」と仰ったが、時には淡々と熟し、時にはドラマチックに・・・なるかもしれない自分の時間を大切にしたいものだ。
古デジカメ蒐集趣味は淡々と繰り返される生活へ常に初体験をもたらす。使ったことのないCAMERAを拾ってくるわけだから当然といえば当然だ。そして、似て非なる操作方法を調べ、撮影結果を楽しむと同時に、そのCAMERAをどう楽しむのか考える。悪くない趣味だと思う。今回のCAMERA、Nikon COOLPIX S500は、私にとって初めてのNikonという事になる。もし、この趣味を始めていなければ、決まりきった繰り返しの中でNikonのオーナーになろうとは思わなかっただろう。それが、この蒐集で初体験の機会を得たのだ。
本機はガラスケースに収められていたので、ジャンクとしてはワンランク上の存在だった。スレもさほど目立たないアンバーブラックのボディはヘアライン加工が施されて美しい。Nikonという美しい響きにマッチしている。2007年の発売だから本来ならば中古品として売られていても可怪しくないのだが、背面液晶に浮きがあるのだ。おかげで0.7Kと安く拾い上げることが出来た。液晶は全体的に白く濁って、貼り損ねて気泡の入った保護シートのようだ。これは一見視認性に問題がありそうなのだが、電源が入ると意外と普通に見られる。ただ、あまり気分の良いものでないことは確かだ。なので、機会があれば綺麗な個体を手に入れようと考えていた。しかし、このジャンクとして流通量の多そうなS500はなかなか私の前に流れ着いて来なかった。数箇月後ついに見つけた2台目のS500も液晶の浮きがあった。この機種の持病なのだろう。2台目を見つけた時に同じ症状だった事で落胆したが、それでも確保することにしたのだった。何故同じCAMERAを2台確保したのかというと、それほど気に入った機種なのだ。同じように2台ダブって所有している機種が、あとひとつある。それはまた別の機会に話すことになるが、それほど特別なCAMERAになってしまった。
本機は手に取ると実に小さい。トランプくらいだ。ステンレス製のボディは高級感がある。背面にある十字ボタンがロータリーマルチセレクターという名称でくるくると回るのだが、ボディに合わせるように小さいので、使うには慣れが必要となる。気になる箇所はそれくらいで、あとは普通に使える。本機を始祖とした後継機種も結構出ているので、ある程度の人気機種なのかもしれない。キムタクのCMが印象的だったが、その御蔭というわけでもないだろう。それまでのNikonのコンデジはどちらかと言うと、丸っこいボディかスイバルボディがメインでスタイルは二の次と言った戦略だったから、本機のような普通のデザインはやはり普遍的な魅力があるのだろう。

2014

2014

初撮りの結果は上出来だった。今まで使用していたメーカーのものと異なり描写が細かいのだ。つまり線が細い。そんな印象を受けた。カラーの発色は地味だったがノイズの出方は良好。もしかするとモノクロームが合うのではないだろうかと考えた。で、これがハマった。

2014

2014

古いデジカメ(そんなに古くないが)をモノクロ専用にして使うというのは一種の逃げと思われがちだが、本機に関して言えばモノクロ設定が素晴らしいから使う機種という役割が出来た。これが2台確保した理由だった。

2014

2014

1/2.5型原色CCD、総画素数738万画素と、小さい撮像素子でカタログ上の魅力は乏しい。それがこんなに豊かな描写をしてくれるのだから不思議である。撮影結果は撮像素子だけで決まるわけではなく、LENSやソフトも大いに関係しているのがDIGITAL CAMERAなのだと改めて気づかせてくれる。モノクロも真面目に作られているのだ。

2014

2014

これだけモノクロが気持ち良いと広角側で28mmくらいは欲しかったが(本機は35-105mm相当)、選り好みが出来ないのもこの趣味の宿命で、拾ってこられるものを拾って使うだけなのだ。。今までは、35-105mm相当という平凡なズームには全く食指が動かなかったが、その平凡なスペックの商品が実に多い。私の蒐集したCAMERAたちもほとんどが似たような焦点距離だ。そんな食わず嫌いな自分に愛想が尽きるほど、この平凡なレンズたちは使いやすいのだった。そんな気付きも今回の蒐集ではあった。他人と同じものは持ちたくないというのは勇ましいが、あくまで基本をわきまえた上で行うのが好ましい。

2014

2014

私はいつでもそうなのだ。浅く広く物事に向き合う。だから、深く語れるものが何もない。何かを真剣に修めてみたい気持ちもあるが、それが何なのかわからないのだ。不惑は遠に過ぎた。この趣味に癒やしを求めて始めてみたが、リアルはどこまでも追いかけてくるものなのだ。

2014

2014

この蒐集趣味の特徴を過去に幾つか書いたが、CAMERAの数量が軌条を逸する事もそのひとつだ。リアルはどこまでも追いかけてくるのだが、集めたCAMERAの数を見返してみると現実とも思えないのだ。すると、とたんに不安になる。こうしては居られないと思う。こんなに拾い集めてどうするのだと途方に暮れる。癒やしを求めたはずの趣味がこんな事では意味が無い。

2014

2014

ふと、思い立って、「コレクター」で検索をかけてみた。すると、なんてことはない。私などはまだまだ浅く狭くなのだった。世の中は広い。私くらいのコレクションで軌条を逸した等と言ってはいけないのである。極普通のよくいるCAMERA好きのおじさんなのだ。何かに迷ったら「コレクター」で検索してみることにしようと思う。妙に落ち着くのだ。ところで、S500の特筆すべき点はAFポイントの多さだ。マニュアル設定で99点から選択出来る。私のコレクションより遥かに多いフォーカスポイントが、この浮きのある小さな液晶画面に存在しているのだ。このCAMERAは不安を生み出すと同時に、癒やしも与えてくれくれる。これはカタログスペックでは分かりづらい部分だと思う。

2014

2014

以前、CAMERA以外にもいろんな道具が揃ってしまったという記事を書いた。クリーニング素材も色々揃えたが、中でも金属磨きはピカール、プラやゴム磨きはアーマオールがお気に入りだ。本機は2台確保しているが、どちらもカラーはアンバーブラックだ。1台をピカールで磨いたら残念なことに塗装がはがれてしまった。それでも、更に磨きこんだら見事なシルバーボディになった。錆びやすくなったのかもしれないが、こんなこともあるさと気にしない事にする。

2014

2014

ピカピカのCAMERAを持って祭りに出掛けた。祭りは誰でも気軽にスナップ出来るが、楽をしているような気がして実はあまり好きではない。かと言って怖い場所へ出掛けて行って撮影を試みるほど行動的でもない。都会の夜くらいが丁度良いと思っている。S500は小さいがしっかりと機械の重さがある。と言ってポケットに入れて邪魔になる程でもない。この匙加減も上手い。さっと出してさっと仕舞える。手ぶらで動けるのは大きなメリットだと思う。

2014

2014

S500はバランスのとれた重さを実現しているが、以前にばらしたプラCAMERAはわざわざ重りとして鉄の塊がボディ内側に貼られていたものがあった。軽すぎると手ブレの心配があることも確かだが、この仕様を見た時にはがっかりした。よくあることなのだろうか。「行人」の一郎は女の心根を知るには狂わせてみなければ判らないのかと嘆いていたが、CAMERAの素性を知るにはバラすしかないのかもしれない。

2014

2014

それでも世の中は良く出来てたもので。実はバラさなくてもCAMERAの中身は知ることが出来る。とある海外サイトでは様々な電化製品のサービスマニュアルを公開している。古いDIGITAL CAMERAの情報もそのサイトで検索をかけると出てくるのだ。英語表記なので、何が書いてあるのか私には分からないが、ほとんどのページが図解なので見ればわかるのだ。たまに手引として分解を手伝ってもらっている。

2014

2014

CAMERAは良い結果が得られると分かっていれば、安心して使うことが出来る。つまりCAMERAのせいには出来ないCAMERAは必然的に安心なのだと思う。S500はそんなCAMERAのひとつだ。まさに拾い物だったのだ。

2014

2014

 

こうしてNikonとの付き合いは上々のスタートを切った。エントリークラスのモデルでこれだけ興奮しているのだから、プロ仕様はどんな描写をするのだろうかと考えないこともない。Pシリーズは高くて手が出なかった。一眼レフやミラーレスもしかり。それでも、Nikonとの縁は終わりではなかった。私の中のNikonへの期待は生まれたばかりだ。果たしてNikonは時間をゆっくり感じさせてくれるだろうか。

つづく。

 

Comment

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA


日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)