レチナという響きに何とも言えない愛しさを感じるのだ。いまでこそ、Retinaディスプレイなどと称してiPhoneで使わている言葉だが、カメラ好きはKodakのブランドを思い起こすはずだ。私は写真を趣味として始めた頃に家電量販店の中古コーナーでRETINA IIcを購入した。買うまで3箇月掛けた。初めてのClassic CAMERAだったために踏ん切りがつかなかったのだ。その間に2万円台だった値札は、2万円を切った。委託品だったのかもしれない。これ以上安くなると売れてしまうような気がして慌てて確保した。今思うと高かったかもしれない。使い方は全く知らなかった。コンパクトに折りたたまれた蛇腹を伸ばす方法すら分からなかった。ダメ元で店員に使い方を訊くと意外にも事細かく教えてくれた。その人は自分でもレチナを愛用しているということを知って合点がいった。もう、10年近く前の事だ。

2c1

2007

その後、DIGITALに完全移行してIIcは使わなくなってしまった。結局Classicと呼ばれるCAMERAはこの1台の他は手にすることはなかった。レチナは使わなくなったが、変わらず憬れのブランドだ。古デジカメ蒐集の中でKodakのDIGITAL CAMERAを意識していたのは間違いない。私の徘徊コースにKodakの出物は少なかったが、最終的に2台確保した。今回はその内の1台の話。

2014

2014

確保したのはCAMERA量販店のジャンクコーナーだった。そこはジャンクと言えども青箱に入れるような事はなく、棚に置かれていて自由に手にする事が出来る良店だ。レンズ周りに「KODAK RETINAR Aspheric」。私が探していたものだった。Kodakのデジカメを見つけたのも、これが初めてだった。

2014

2014

グリップには、エンボスされたコダックのエンブレムにヘアライン加工を模した仕上げ。。

2014

2014

全体はズングリムックリな84.7 × 64.7 × 34.9 mmのこじんまりしたボディ。安っぽい。。Kodak EasyShare C360 Zoom(2005年8月発売)、これがこいつの名前。有効500万画素 1/2.5型CCD。筐体の(それも細部の)魅力がなければスルーしただろうと思う。それほど平凡な印象だ。完全に自己満足の為に手に入れたのだ。

2014

2014

背面もありきたりなインターフェイス。レンズは換算34~102mmのF2.7~5.2(広角)、F4.6~8.0(望遠)と暗めだが、見た目からは相応な感じがする。買ったことで満足できた機種と考えていた。つまりは愛蔵品だ。ところが撮影結果は意外なものだった。

2014

2014

よく写るのだ。勿論、小さな撮像素子なので、等倍で見れば破綻している。また、歪曲収差も目立つ。それでも、なお気分が良くなる色を出してくれるのだった。

2014

2014

大した期待もしていなかった時に良い結果が出ると、喜びも大きくなる。

2014

2014

ISO80。1/1500、f5.6。。カタログでは1/1400が最高になっていたが、これでデフォルトの発色。空が深い。

2014

2014

深さを感じる青。子供の頃は千葉で過ごしたが、空が綺麗だったことを覚えている。そんな事を思い出させる。

2014

2014

青いクレヨンを最後に使ったのはいつの頃だろう。私は絵を描かないし、子供も居ないので、おそらくは小学生の頃ではないかと思う。空に青色を何の違和感もなく使えた時が確かにあった。

2014

2014

古デジカメ蒐集で新たなクレヨンを手にしたような気持ちになった。空を写すならこのCAMERAなのかもしれない。

2014

2014

私は一時期、このCAMERAと空を見続けた。網膜に焼きついたような記憶の中の空が描けているような感覚だった。

2014

2014

私が住んでいる場所では広い空は望めない。建物に遮られた空間に生きている。高い建物にでも登らない限りは遠くを見ることは出来ない。

2014

2014

街を歩いていても廊下にいるような感覚をよく覚える。大きな建物にいるような感覚だ。

2014

2014

そんな時はやはり空を見上げる。

2014

2014

子供の頃は千葉で過ごしたと書いたが、住んでいた家の周りは畑と田んぼしかなかった。広い空と広い空間があった。

2014

2014

家は高台にあったので、坂道を下って学校に通っていた。坂道を下り切るとどこまでも田んぼだ。遠くに川が見えた。

2014

2014

しかし不思議なことに川の向こうの景色の記憶がない。どこまでも続いていた田んぼの果てに何があったのだろうか。無理に想像すると山が描かれるが果たして山などがあったあろうか。

2014

2014

40年以上前の光景が完成されないまま夢想は終わる。果ての風景で覚えているのは空の色だけだ。

2014

2014

ISO160。1/8秒、f4.6。淡々と数字をはじき出し記録してくれる。「網膜」という名を持ったこのCAMERAは意外な写りと思いがけない記憶をみせてくれた。

2014

2014

形はお世辞にも恰好いいとは言えないが、抜群のホールド感はCAMERAを意識させない域まで達している。これも見た目からは想像出来ない良さだ。

2014

2014

ほんの0.8Kで手に入れたこのCAMERAは当たりだったと言える。IIcの説明をしてくれた店員さんに見せたら苦笑するだろう。

つづく。。

Comment

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA


日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)