FinePix 4900Zは瞳の大きなCAMERAだ。2000年9月発売としてはかなり高いレベルで、画良し、メカ良し、質感良しで、満足度の互いガジェットである。

2014

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このパワーを感じるフォルムに出会ったのは新宿の中古CameraSHOPだった。地下フロアのガラスケースに入れられていた。ジャンクというわけではなく中古として売られていたのだ。パワーの源はこの大きなLENSだ。換算35mm~210mm相当のF2.8~F3.1の「スーパーEBCフジノン光学6倍ズームレンズ」。当時のニュースリリースでは『7群10枚の全てのレンズに7層以上の最高級マルチコーティングを施した』と謳っており、力の入り具合が伝わってくる。古デジカメだろうが、現行機種だろうが、LENSの良さは楽しみのひとつだ。それが如実に伝わってくるのは嬉しい。この大きな瞳がなければ、私は本機を手に取ることは無かったと思う。リサイクルショップとは違って中古CameraSHOPでガラスケースから出してもらう行為は敷居が高いのだ。とにかくLENSが気になったので出してもらったのだが、無論本機の詳しい仕様はわからない。すぐに分かるのはメディアがスマメで、バッテリーはかまぼこ型だということだけだった。かなり古い機種だ。画素数がわかれば更に推測しやすいのだが、あいにくとどこにも表記がない。品名が4900なので、FinePixの法則から、400万画素でハニカムなので200万画素と当たりをつけた。モードダイヤルにMASPと揃っていてハイエンドであると分かる。ただ、購入する決定打がない。無闇にコレクションを増やす時期は過ぎていたのだ。

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その時、モードダイヤルの付け根のリングが回ることに気づいた。2段ダイヤルなのだった。こういうガジェット感に弱いのは男の性なのかもしれない。これが確保の決め手となった。大きな瞳とギミック。私の確保の仕方はこの様に下調べをしない事の方が多い。理由は簡単で何が落ちているのかは一期一会だからだ。ほとんどの機種を把握しておられる方もいると思うが、私はそこまでの記憶力はない。本機の撮像素子は1/1.7型スーパーCCDハニカムの原色フィルターで240万画素。ハニカムで432万画素で記録。この機種に関しては品名の法則が当てはまっていた。気に入った2段ダイヤルの下段のリングはモードのセレクトにも使えるが、絞り優先の時には絞りを変更出来る。実戦向きな仕様だったのが嬉しかった。

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LENSが大いに主張しているデザインだが、全体は意外と小ぶりで重さは410gと適度、その割にグリップがしっかりホールドをサポートする。ボディはマグネシウム合金でチープさは微塵もない。アルミ製胴鏡のトップに配されたリングはMF時に使う。ダイレクト感は感じられず、EVF、LCDともに時代なりでピンをつかめるシロモノではないのは残念だ。また、ピントを確認するための拡大表示機能も独立ボタンを獲得しているが、まだ夢に現実が追いついていないと言った印象は拭えない。。視度調節がないのも片手落ちだ。。

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胴鏡左手側にはフォーカス切り替え、ズームボタン、露出補正、WB、infoが配されて一眼ライクに使える。一方背面液晶での撮影では背面の十字ボタンでもズームが出来るという仕様。個人的にはフラッシュのON-OFFが物理的ボタンで制御されているのも高ポイントだ。2000年当時にもしこのカメラ1台しか持っていなくても結構満足できただろうなと思う。シンプルなカメラも好きだが、色々弄れるカメラも楽しい。

2015

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4900Zを片手に夜明けの街に出たのだが、唐突に新宿の夜明けを思い出してしまった。。今より若い頃、新宿で痛飲して終電に乗ったが乗り過ごし終着駅まで行ってしまい、再びタクシーで新宿まで戻った事があった。酔って電車は乗り過ごしたが、タクシー代が一万円もして、その時点で酔いも冷めた。。

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始発までは3時間。。オールナイトの映画でも観ようかと歌舞伎町の方に行きかけたが、ふと、コーヒーが飲みたくなって、アルタの近くにある深夜喫茶に入ることにした。

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店は地下にあって狭い階段を降りて行くと、想像したよりは広い空間だったが、灯りは暗くて、客は奥に1人いるだけだった。

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入口近くの席に腰を下ろして、コーヒーを注文し、読みかけの文庫本をテーブルに置いたまま。ぼ~っとして過ごした。

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しばらくすると、 ドアが開いてあらたな客が入ってきた。若い女性でこの時間帯の喫茶店に似合っている様な不自然な様な不思議な感じを受けた。

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その女性は迷った様子もなく私のテーブルに近づいてくると、そのまま私の向かいに座った。そして、紅茶を注文すると、「私、寝ます」とだけ言い残して、テーブルに突っ伏してしまった。

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女性は特に酔った様子もなかったようだった。その女性の頭部を見ながら、?マークが浮かぶという事態。。知り合いじゃないよなぁ・・としばらく考えてみたが、私も疲れていたので、まぁ、こんなこともあるだろうと、文庫本を拾い上げて読み始めた。

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気付くと私も寝ていたようで、時計を見ると始発がそろそろ出る時間だった。目の前の女性は変わらずに黒い頭をこちらに向けていた。紅茶に手を付けた様子もなく、もう湯気も立っていない。もっとも、私もほとんどコーヒーを飲んでいなかった。。私は立ち上 がると、女性の肩をトントンと軽く叩いて「もう、電車が走ってますよ」と言った。

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答えは無いだろうなと思ったが、少しの間を置いて「ありがとう、もう少し寝ていきます」と返した。店の外に出たら、駅に向かう人達が大勢いるのには少なからず驚かされた。オールナイトの客だったろうと思う。空は朝の明るさで、まさに夢から覚めた気がした。皆、一様に重そうな足取りで新宿東口へと吸い込まれていく。どこからか、REBECCAの「LONELY Butterfly」が聴こえてきた。近くに停めてあった車から流れてきたのだろう。まだ、カセットテープとMDが混在していた時代の話だが、いまだに、 この曲を聴くと、この夜の事を思い出す。

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なぜ、こんな古い話を思い出したのだろう。確かに夜明けの雰囲気は似ていたと思う。しかし、朝焼け時間の散歩は今回が初めてではない。

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ただ、4900Zと一緒に夜明けを写すのは初めてだった。古デジカメを使う時には、どこで出会ってどんな事を思って購入したのか考える。

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キーワードは新宿の地下なのだ。新宿の地下で出会ったCameraと昔の体験。人の脳の働きは面白い。無関係な事柄をつなげてしまう。

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もう一つ思い出したことがある。目の前でテーブルに突っ伏す前に見た女性の大きな瞳である。出来すぎだなと思う。

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本機は発売当初実売で100k凸凹で当時としては普通だと思うが、かなりお買い得だったように感じる。そんな機種がほとんど傷もなく私の前に1.3Kで現れるのだから捨てる神に感謝したい。。現在の最新機種が完成しているとは思わないが、それに比べれば黎明期のデジカメはPCの周辺機器扱いだったり、幼い機械然とした仕上がりだったりして、どこか未完成感がにじみ出ている。古デジカメ蒐集は懐古趣味ではあるが、決して懐古主義ではなく、ダメなところを愛せる心がないといくら安く手に入れられるものでも無価値になってしまうと思う。

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本機は64MBで画質FINEだと丁度36枚写せる。フィルムと一緒の感覚で懐かしさも覚える。最高画質のHIで撮影すると撮影枚数は5枚。当時、HIで撮影する人は殆どいなかったろう。これを愛せるかどうかでその資質を問われる気がする。

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バッテリはあまり燃費の良くないかまぼこ型だが、前述通り撮影枚数に限りがあるので特に問題はない。バッテリーが切れれば撮影は終わる。

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競馬場へ同行させてもいいかなと思う。我が家にとって「ケ」がご近所散歩ならば、競馬場は唯一の「ハレ」の場なのだ。

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動き物はダメだろうけれど、とりあえず走る馬にはチャレンジしてみたい。。

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このCAMERAとは新しい記憶を作っていきたい。だから競馬場へ連れて行きたいのだ。これを使う度に新宿の朝を思い出すのはつまらない。アルコールはやめてしまった。奇譚は期待できない。

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せめて、良い記憶と記録であることを願う。

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このCAMERAと出会って、さらにFinePixが好きになったのだから・・。

つづく。。

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