変わったものを持ち歩くというのは、妙に気が引けると同時に楽しい気分にもなる。20代の頃、友人たちとよく飲み歩いたが、ずいぶんとくだらない事をした。刺身の船盛りといえば鯛の尾頭付きが定番だが、譬えば、これを食べ終えた時に鯛の頭がなくなっていたら、店員はどんな反応をするのだろうか?という実験をしてみた事がある。結果から言うと、一瞬おや?という反応をみせて、テーブルを見回したが、それ以上は態度を崩さず、船を下げた。まぁ、一瞬でも不審と思ってくれたから成功と言える。ただ困ったのは鯛の粗の処置だ。その時はたまたま友人のひとりがコンビニ袋を持っていたのでその中に隠したのだが、仕方がないので、そのまま持って店の外に出た。そして、鯛の頭を囲んで記念撮影をした。今みたいに携帯もない時代だったから、当然フィルムカメラだった。その写真は今でも持っている。その時、鯛の尾頭を持って歩いていると思うと可怪しくて仕方なかった。多分酔っていたせいだろう。
あるカメラについて調べている内に別のカメラを知る。この波紋のような効果で別の機種が欲しくなるという2次的産物が生まれることがある。それもまた愉しからずや。。RICOHと言えばデジタルカメラ分野ではGRで切り開いた独自路線で現在も突っ走るスナップシューターの雄であるが、GR以前のデジタルカメラにも尖った機種が存在していたと知ることになったのは過去に紹介したCaplio RXを調べていた時の事だ。デジタルカメラの夜明けともいうべきCASIOのQV-10の少し後に発売されたDC-1という機種の格好良さに一目惚れしたのだった。この時期のデジタルカメラはPC周辺機器としての性格が大きかったと思うが、コンシューマモデルのQV-10に対して事務機器的なスタイルで押してきたDC-1の硬派な感じが琴線に触れた。70kを切った価格で市場に出てきたQV-10も衝撃だったが、DC-1は150k超えだったようだ。デジタルカメラがまだまだ遠かった時代のお話だ。RICOHに関しては積極的には探さないと考えていたが、せっかく古デジカメ蒐集をやっているのなら欲しい物を手に入れようと探し始めたのだった(一期一会の法則から逸脱を始めたのだ)。ただ、95年製のカメラはそうそう見つからない。徘徊コースで探すという事の限界も感じ始めていた頃で、ネットショップのチェックもしてみたが、探している内に40万画素だし、外付け液晶は確認用だし(撮影時には使えない)、メディアは聞いたこともないカードみたいなものだし、ガム型電池だし・・・と、テンションが下がっていくのだった。そして情熱がなくなった頃、某カメラショップサイトで検索をかけていたら、似た機種が引っかかった。それが、今回紹介するRICOH RDC-7s(2000年11月発売)で、DC-1の血を受け継ぐImage Capturing Dviceだ。ちなみにこの系譜は更に2世代受け継がれ2003年に発売されたRDC-i700 model Gまで続いたようだ。

2015

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DVDプレイヤーのような、コンピュータのような、知らなければデジカメだとは思わない風貌だ。右側の大きなボタンがシャッター。

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少し角度を変えてみると、サイド面の真ん中にモードダイヤル、直ぐ右側にファインダー。

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反対側。真ん中にレンズ。左にファインダー窓とフラッシュ。右にあるボタンが縦位置で構えた時のシャッター。

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液晶を見せた状態で閉めることも出来る。ローアングルに強い設定。

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ボタン類。

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裏。三脚穴の周りにはすべり止めのラバーがデザインされている。ズームレバーは裏側にもある。独特のスタイルと言える本機だが、意外と撮影しやすい。現在は背面液晶がバリアングルされてローアングル撮影も普通に出来るが、本機のようにカメラをホールドする部分と液晶が離れていると安定感が違う。また、本機を縦に構えるビデオカメラスタイルでは自然に手の位置が決まり収まりが良い。新書版程度の大きさで凹凸もなく滑らかなフォルムで収納スペースを選ばないのは便利だ。この一見何の機材だかわからないガジェットが、デジカメだと思うと愛着がわく。メディアはスマメ。そして、電池はかまぼこ型。ネットで発見したと書いたが、その時、強烈に惹かれたのはこの不思議な形だけではなくて、実は充電器がセットでついていたところだ。本機に出会うまで、かまぼこ型電池の充電には苦労していたのだ。私はデジカメの充電は充電器で行う派なのだが、かまぼこに関しては仕方なくカメラ本体にコードをつないでの充電を余儀なくされていたのだ。この蒲鉾電池と縁が切れない理由は縦型FinePixに使われているからで、ぜひとも充電器が欲しかった。所有しているマルチ充電器では上手く固定できないのだ。私の所有しているかまぼこ型電池は2種類あって、長さが短いタイプがこの充電器で利用できる。長いタイプは切り込みが異なり充電器にはまらない。

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レンズは換算35~105mm、F2.6~3.4。撮像素子は1/1.8型 334万画素原色CCDと十分なスペック。RICOHの伝統といえるのか分からないが、インターバル撮影機能や1cmマクロを搭載している。ファインダーの見えは悪くはないレベル。脱着式レンズカバーが付属していたが、これをレンズに着けた状態でファインダーを覗くと視界を遮る様に出来ているので、着けたまま撮影という失敗を防止してくれる。液晶を使っての撮影だが、起動は2秒ほどで待たされる感じではないが、屋外での見えは良くない。

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画質はすこぶる良質だ。近代的な描写だと思う。15年前のものとも思えない。

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曇の日でもこのくらいは写ってくれる。雲がペッタリしていないのは好感。

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それでも条件が揃うのならば晴天で使いたい。ファインダーで十分構図は作れる。

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シャッターの感覚が若干分かりづらいのは個体差だろうか。半押しのつもりが押し込んでしまったと言うことが何度もあった。

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機動力戦では厳しい。光学ファインダーがあるものの、動きものには向いていないばかりか、CAMERAを動かしながらの撮影も難しい印象。じっくり系のCAMERAだと言える。

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じっくり構えればAFもさほど迷うこともない。

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よく二眼レフのお辞儀ポーズは、被写体に威圧感を与えないと言われる。背面液晶のバリアングル機能やスイバルモデルも同様の効果がある。本機に至っては更に効果が上がっているのではと感じる。

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特にキャンディッドフォトにおいて、この風変わりなオブジェはCAMERAにすら見えないように思う。それでも、この変わった形を持ち歩いていると他人の目が気になる。何を持ち歩いているのか気にしているのではないかと思ってしまう。

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しかし、結果としてそれが楽しい。似たような感覚を以前も体験したなと考えていたら、思いついたのが、KYOCERAのSAMURAIだ。あれも変わった形をしていた。そして、それを使うことが楽しかった。

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ところで、このカメラはフリーアングルモニターと接写能力の相乗効果で草花の撮影に向いている。実に楽に写せる。そして、カメラとも思えないコイツで撮影していると何か特殊な装置で観察しているような気分になる。

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意外だったのはボケが綺麗な事だ。現在の1cmマクロのボケはどこか作った感じを受けてしまうのだが、本機のそれは純粋なレンズのボケという印象だ。

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本機は多機能でもある。譬えばPROモード。これは2回露光して合成し、700万画素相当の画を出してくれる。メディアが64MBしか持ってないので、数を撮りたいとなるとなかなか試せないモードなのだが、次に持ち出す機会には試してみようと思う。

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また、分割撮影も出来る。これは画面を2分割して合成するモードで、所謂カップリングショットだ。このビジネス押しの商品に必要なのか疑問ではあるが、簡易立体写真が出来るので、私的にはありがたい。

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鯛の尾頭で味をしめたので、もう一度だけ似たような実験をした。それはすっぽん鍋を食べに行って、鍋の底に沈んでいるすっぽんの甲羅をなくしたら店員はどうなるのか?という試みだ。くだらないイタズラだと思う。友人のひとりがトイレに行って手拭き用のペーパーを多めに貰ってきた。その友人はそれで甲羅を包んで、懐に仕舞ってしまった。この時は鯛の尾頭以上の反応があった。何しろ鍋の締めは雑炊と相場が決まっていて、そのために出汁用に入れておいた甲羅を取り出さないとならないからだ。我々は、すっぽんは甲羅が一番美味いからもう食べてしまったと言い張り、すみやかに雑炊を作らせた。今思えば、骨以外はまだ食べられる部分があったから勿体無かったが、20代の若造がすっぽんを食べ慣れているわけもなく、惜しいことをした。店を出て、例によって皆で記念撮影をしてると、通りすがりの若い女性がすっぽんの亡骸を発見し、叫び声を上げたのにはこちらも驚いた。思えば新宿での事だったのだ。その時も街を歩きながら、すっぽんを持ち歩いていると思うと可怪しくて仕方がなかった。ちなみにその時の写真もまだ持っている。
年を取って風変わりなカメラを持つだけで満足できるようになったのは成長の証ではないだろうか。確保した個体は傷ひとつない綺麗なものなので、大事に使っていきたい。叫び声を上げられる事もないだろう。

つづく。。。

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