カメラを落とした経験はあるだろうか?
私は過去に2回、落とした事がある。1回目は7~8年前に北海道の牧場で、ポケットに入れていたはずのGR DIGITALを知らない内に落としていたのだ。なので、落下の瞬間は見ていない。地面は土と牧草なので音も聞こえなかった。幸い同行していた方が見つけて届けてくれた。その方に「これ、マツさんのですか?」と尋ねられるまで、落としたことに気付かなかったのだからお目出度い。
2回目は今年の事だ。落としたカメラはFinePix F700。コイツは中野のジャンク屋で見つけた文字通りのジャンク品だった。スペックジャンクであると共に筐体の前胴と後胴の合わせ目が密着しておらず、何か見えちゃってますって状態のものを0.5Kも払って拾ってきたのだ。ジャンク品の価格設定はまったくもって曖昧だ。身体が割れている商品を0.5Kって、普段ならまず拾わないだろう。この機種は蒐集を始めた頃は結構出物があったのだが、いつもの徘徊コースで何度かスルーしている内にすっかり見かけなくなったので、実は密かに(する必要もないけど)探していたのだ。そういう状況の場合、まずは確保する事が目的となり、正しい判断は出来なくなる悲しいコレクターの性分が出てしまう。我に返った時には価格に見合わない一品を持ち帰っていたのだ(気絶と言う)。自宅で詳細に観察すると、アルミの筐体が変形していたので、バラしてガワの形を整えて組み直した。若干の浮きは残ったが、なんとか見られる程度には復元出来た。それをそのままフローリングの床に落としたのだ。高さにして40cmくらいだろうか。再びパックリと合わせ目が開いてしまった。弱すぎやしませんかというくらい簡単に変形した。仕方がないので再びバラしてガワの整体に挑むも、被害の度合いが大きく完全復元は諦めた。自分でトドメをさした事になる。ジャンクのためにいろんな道具を揃えたが、筐体の整形に関するものは意外にも蓄積がなく、ただ傷を増やす結果になった。仕方がないので、瞬間接着剤で止めた。良くないのは分かっているが、使えなくては仕方がない。背に腹だ。
というわけで、カメラのコンディションは良くない。もともとレンズ周りのプリントはかすれ、ボディに打痕が残っていた。
さらに接着剤跡も痛々しい(私の雑な仕事です)。
それでもこれが私にとって初の横長FinePix。横長のデザインにレンズの位置が中央よりの微妙なバランスで、落ち着かない感じがする。横方向にゆとりがあるので、ホールド感は良いが、なぜか落としてしまったw。前面グリップにラバーがあると更に良かったかもしれない。撮像素子は1/1.7型 スーパーCCDハニカムSR 原色フィルターで、これがこの機種の売りであった(2003年発売)。ポイントはSRと言う部分でカタログでは620万画素(S画素:310万画素 R画素:310万画素)と言う表記になっており、通常レンジの素子と白飛び防止の素子を組み合わせ高ダイナミックレンジを実現したというフィルムメーカーならではのこだわりのCCDらしい。とは言うものの、私の場合は横長メインで蒐集したので、そうなんですねと言う感じではある。FinePix好きとしては、お任せしますというところだ。
レンズは鉄板のスーパーEBC フジノン光学式3倍ズームレンズで換算35mm~105mm相当のF2.8~F4.9。メディはXDで専用バッテリー。背面液晶が小さく感じるが、これは横長を活かして両手で構えた時丁度左右の手の間に収まるサイズとなっている。補助光ランプのオフが出来ないようなので、パーマセルで覆った。三脚穴がものすごく端っこに付いているのが気になるのだが、三脚を使わないので、これが良いのか悪いのか分かりかねる。おそらくはメディアやバッテリーの出し入れと関係があるのかもしれない。電源は私の好きなスライド式だが、かなり硬い。これは個性なのかデフォなのか不明だが、OFF、再生、撮影と並んでいるスイッチの再生に一発で合わせるのは至難の業だ。特にOFFから再生がむずい。起動自体は速くて、AFも早い。全体的にキビキビしている。特にストレスはない。強いて言えば、露出補正がボタンを押しながら十字キー操作なので、油断をするとフラッシュやマクロの設定が変わってしまうことと、液晶に露出の設定が反映されない事が不満といえば不満。露出の設定が反映されてない液晶は寂しい。ちょっとデジタルの恩恵を受けられない寂しさがある。
得られる画像はザラッとしたFinePixらしい優しい描写だと思う。
歪曲は若干。例よってこのカメラも起動時にワイド端ではなく若干標準域寄りに立ち上がる(FinePixの謎)。そして例によってそのまま撮影しているので、ワイド端ではどうなのか検証していない。まぁ、情報提供を目的としていないのでご了承願いたい。落としてジャンク度は5割増しとなったが、出てくる画を眺めていると悪い気はしない。
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つづく。